京葉カントリー倶楽部

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    公開:2025.05.11 10:40 | 更新: 2025.05.11 01:40

    1グリーンか、2グリーンか、悩ましい

    続々登場する耐暑性の高い新世代ベントグラスによってこの論争は終わったかに見えました。しかし近年の猛烈な酷暑が再びこの議論を呼び起こしました。

    京葉では当時としては最新の品種であったタイイ(Tyee)という種類のベントグラスでコーライグリーンから転換を行いました。弊コースは2グリーンシステムでもう一方はペンクロスを使用しています(ただ実際には新品種をオーバーシードしてほぼシャークという品種のグリーンになっています)。タイイグリーンの土壌は砂混じりの黒土でベントグラスのグリーンにするのは条件はあまり良くないものの、なんとかなっています。年によっては大きなダメージを喰らいメンバー及びゲストに迷惑をかけしまうが最近の夏の暑さを考えれば頑張っている方だと思われます。

    もう一方のペンクロスの方は一応サンドグリーンということになっていますが、30年以上前に造成したものでありその後、様々なグリーンキーパーが当時の考え方で管理をしてきたので、その時々のやり方がまさに地層となっていることが観察できます。そのような層の存在はグリーンの管理上望ましいものではなく現在の管理を難しくしています。

    また、タイイグリーンにしろペンクロスグリーンにしろ面積が小さく(300平方メートルほど)、傾斜が強いので管理も難しいし、グリーンスピードが非常に高速になったためホールロケーションに強い制限が出てしまっていて、使用するエリアが偏るためになおさらに管理を難しくしています。

    少し前までは負担が集中しないようにグリーンの面積を広くとってバランス良くカップを切れるようにし、適切な土壌でつくり、最新の耐暑性の高いベントグラスを選べば1グリーンで行けると考えていました。現在、面積が狭く、傾斜も強く、土壌の状態も悪かった11番グリーンを1グリーンに作り直してるところで、この新しいグリーンが夏をどう越せるかに期待しています。しかし、37℃を超えるような暑さや日照りが何日も続くような現在ではベントグラスと暖地型品種の2グリーンシステムか暖地型品種での1グリーンも将来的に視野に入ってきます。

    ベントグラスが夏を越せなくなりつつあることは述べましたが、コーライなどの暖地型の芝も様々な問題を抱えています。コーライは日本に古くから品種なので管理上の問題は比較少ないですが、ベントに慣れたプレーヤーにはパッティングクオリティが不満かもしれないです。昔と違ってコーライでもスピードを出すことはできますが、そうすると冬場にスピードが出すぎてしまったり擦り切れて傷んでしまったり問題が生じえます。特に暖地型の芝生は年に一度しか生育時期がないので傷んだ場合のリカバリーに複数年要するようなこともあるかもしれないです(コーライをメインに使わなくなってあまりに久しいので私にはよく分かりません)。

    そこでコーライよりはパッティングクオリティが高そうなバミューダにも注目が集まっています。現在日本で実績があるのはチャンピオンドワーフとミニヴェルデという超矮性のバミューダです。しかし気候がマッチしないのか、日本での管理手法がまだ確立しないのか良いという評価は聞こえてこないです。他にティフイーグルという品種もあるがこちらも先程の2品種と大差ないのかあまり評判を聞きません。昨年頃から日本に入ってきているらしいマッハ1という品種があり、これは既述の3品種よりもさらに矮性で、弱点だった耐陰性が改善しているという。そこで弊コースでも今年からテストを進めるべく準備を始めています。

    このように日本の気候でグリーンをどのように用意するかにはいくつかの選択肢がありますが、これが間違いなく良い、優位である、というやり方は今のところ存在しません。単にグリーンを維持するという意味では2グリーンが一番適していると思われますが、グリーンを置くエリアに十分な広さがない弊コースのような場合は特にプレーしていて楽しいと思えるグリーンを作るのは難しいので完全な解にはなり得ないといえるでしょう。結局のところ、ゴルフコースは1グリーンが基本的なあり方であり、2グリーンというのはあくまで例外なのです。

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