京葉カントリー倶楽部

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    公開:2025.05.31 07:33 | 更新: 2025.05.31 10:36

    パット数とかフェアウェイキープ率とか意味ないよね

    PGAツアーのデータを見てみると

    今回は平均パット数とかフェアウェイキープ率とかゴルフの技量を測る指標としては意味がないという話です。「パットイズマネー」は少なくとも現代のプロ競技においては成立しないことがデータから分かっています。

    2015年からPGAツアーで「ストロークスゲインド」という指標が導入されました。これは全てのショット地点を記録していることから可能になったデータです。PGAではグリーンのある地点からツアー全体の平均何打でカップインするかがショットリンクのデータから分かっています。グリーン上のある地点からのツアー平均パット数が1.5打だったとします。この位置から1打で入れることができればその選手は0.5打ゲインしたことになります。もし2打で入ったのなら逆に0.5打失ったことになります。これがストロークスゲインドです。これはティーショットまで逆算していくことができます。その結果、今ではティーショット、グリーンを狙うショット、グリーン周りのアプローチ、パッティングそれぞれのストロークスゲインドが計算できます。

    以下の表を見てください。これは2025年5月までのPGAツアーのストロークスゲインドの20位までのランキングです。1位のシェフラーはトータルで2.569です。これは毎ラウンド平均的な選手よりも2.569打少なくプレーしているということです。

    シェフラーとマキロイのティーショットのうまさが際立っていますが、上位選手の特徴はグリーンを狙うショットで優位性を確保しているところにあります。パッティングに関しては数名を除いてはこの上位者においても平均的なレベルでしかないのです。

    次に日本人選手を見ていきましょう。松山選手は上の上位20位の表に出ていますが、グリーンを狙うアプローチショットと、グリーン周りのショートゲームでストロークを稼いでいます。

    久常選手はアプローチショットに優位性があり29位につけています。逆に金谷選手はアプローチショットで損をしています。ここでもアプローチショット(ロングゲーム)の上手い選手が上位に来ることがわかります。星野選手は全分野で平均かそれ以下なので全体的なスキルアップが必要なことがわかります。

    最後に下位に沈む20名を見てみましょう。全般的に技量が劣ることは間違いないのですが、ややアプローチショットが劣ることが全体の傾向のように見えます(統計的に有意なほど差があるかは微妙ですが)。

    ボールやクラブ、フィジカルやスイング理論などが進化した現代ではグリーンを狙うショット=アプローチショットが一番重要で、その次がティーショット、というのが定説になっていると言えるでしょう。

    アマチュアの場合は?

    ストロークスゲインドはショットリンクで全てのショット地点を記録しているPGAツアーだからこそ計算可能な指標です。しかしアマチュアでもショット地点を登録しながらプレーすることを可能にするデバイスやアプリがあり、それらを使うことでストロークスゲインドが(PGAツアーほどの正確性はないものの)計算することができます。

    私はGarminのスマートウォッチでショット地点を記録していますが、同じように記録しているゴルファーのデータから私と同水準のゴルファーを平均としたストロークスゲインドを計算して、どの分野が秀でていて、どの分野で劣っているかを教えてくれます。

    アプローチショットが苦手でグリーンにのらないけど、ショートゲームが得意でパット数が少ない人と、ロングパットが上手い人とのパット数が同じであってもパットの技量が同じとならないように、また、飛ばないけどまっすぐ飛ぶ人と、飛んで曲がらない人のティーショットの上手さが同じではないように、パット数やフェアウェイキープ率は技量の指標にはなりません。毎回200Yを真っ直ぐ飛ばす人のティーショットのストロークスゲインは毎回250Yを真っ直ぐ飛ばす人のそれとは異なります。なぜなら2打目以降の平均ショット数が違うからです。ホールから遠い方が不利なのは当たり前です。そこから両者がグリーンに乗せる確率が同じなら逆に遠くから正確に打てる前者がアプローチショットでストロークスゲインドを多く獲得することになります。

    日本のツアーも頑張って欲しい

    昨年パインハーストで行われた全米オープンの時点で松山選手のショートゲームは2位に頭ひとつ抜けたレベルで1位だったのですが、インタビューでそのことを聞かれた松山選手が「たまたま寄せやすい場所にボールがいっていただけです」と答えていましたが、ストロークスゲインドはそういうことではないので、仕組みを理解していないのだなとわかりました。仕組みを理解していなくて松山選手は勝てるので関係ありませんが、そうではない上を目指す選手はストロークスゲインを意識しています。

    日本のツアーでもショットリンクを導入にしてストロークスゲインドを算出して欲しいものです。母集団が異なるのPGAツアーとの直接の比較はできないですが、自分の強みと弱みを正確に捉えて練習することは上達の近道ではないでしょうか。日本のツアー、特に男子ツアーを盛り上げるためには選手のレベルアップは欠かせないと思うので、ショットリンク導入費用はかなり嵩むとは思いますがぜひ導入して欲しいものです。

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