京葉カントリー倶楽部

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    公開:2025.12.08 09:27 | 更新: 2025.12.08 12:27

    2025年ジャパンターフショー雑感

    さる11月6日にジャパンターフショーに行ってきました。備忘録的に雑感を書いておきます。そんなにしっかり記録していたわけではないので勘違いや間違いがあるかもしれませんので、そのときはごめんなさい。

    自動運転関連

    バロネス

    今年は個人的に自動化をテーマにしてるので国内で一番シャアを持っていると思われるバロネスのブースで話を聞いてきました。

    フェアウェイモアの自動運転機はすでに導入しているコースが結構あるようですが、価格を聞いたら1台2700万円ぐらいするそうで、有人運転のフェアウェイモアとの差額が大きすぎるという印象でした。また、本体と自動ユニットが一体となっているので、フェアウェイモアだけを買い替えることはできないそうです。買い替えにはまた2700万円かかるのはちょっときつい。刈り込むスピードも時速8kmでちょっと遅くて作業性が悪いと思いました。

    2027年に発売予定というラフモアは価格は未定なものの、内容的には期待できるものでした。カメラではなくレーダーのLiDARがついてTeach and Play方式で、衛星信号が入らない林帯の中でも自動で刈れるとのことで、他の自動機械は常に衛星信号が入らないと動かないので一歩リードしてると思います。

    マミヤ+ジャコブセン

    マミヤのブースではジャコブセンのフェアウェイモアを自動化したものが紹介されていました。日本ではバロネスとマミヤが自動運転をリードしているようです。ただ、ジャコブセンは本国の方でアメリカ拠点撤退などいろいろ苦しいようで日本でも急激にシャアを落としている印象です。自動化部分については価格やユニット一体型であることなどはだいたい同じで、刈込速度は設定で時速12kmまで上げられるとこのことで、相違点はそれぐらいのようでした。

    ロボットその他

    ルンバのようなロボット芝刈り機は家庭用市場などもあることからゴルフコース向けのメーカーとは別の会社がシノギを削っていて興味深い状態です。世界的に見るとKressとHasqvarna、日本のやまびこのブランドであるEchoが主流のようですが、最近台湾のメーカーから有望な機種が出ているとの情報も入っています。

    今回のターフショーではハスクバーナとエコーが出展していました。トロもロボット芝刈機を出しているのですが中身はエコーなので割愛します。情報によるとKressとHasqvarnaがいまのところ一番性能が良くて、その中でも僅差でKressが良いらしいです。まだまだ進化の余地がある分野なので各社の競争が楽しみです。

    ゴルフコース管理機械メーカー大手といえばToroとJohn Deereですが、両者とも自動運転のフェアウェイモアは発表していません。ToroはGeoLinkというシステムを導入して肥料などの自動散布はすでに可能ですが刈り込み機械への導入は未発表です。近年中に発表するという情報はありますがどうなることでしょう。John Deereについては情報がないですが、アメリカ国内の代理店主導でサードパーティの自動化ユニットの導入が進みそうだという情報があります。

    感想

    2月にサンディエゴのターフショー(GCSAA)を見に行ったときにも思ったんですが、アメリカでも日本でも案外自動化が進んでいないのが残念です。6月にドイツの大手ゴルフコース管理請負会社を見学した際に知ったのですが、ヨーロッパの方が後発なだけに自動化が進んでいる印象があります。日本もアメリカも大陸ヨーロッパには注意を払っていないので知られていないのが現実です。

    ドイツで見たオランダのTurftronicというサードパーティの自動化ユニットはアメリカにも日本にもまだ入ってきていないですが非常に優秀な上に既存の機械に載せられるので費用的にも優位性があります。ドイツからの帰国後に直ちにTurftronic社に接触して話し合いを始めましたが来年早々の導入ができそうです。日本でも信頼できるディーラーが取り扱いすることが決まりそうで心強い限りです。興味があるゴルフコース経営者/コース管理責任者のかたがいれば僕にメールをください。すでに知り合いのコースに声をかけていて数コースが導入することが決まったようです。

    工事関連機械

    京葉CCは結構自社で樹木を伐採したり工事をしたりするので工事に関連する機械にも興味があるんですが、ユンボに取り付けるアタッチメントで樹木を頭から削っていったり、背丈ほどの草木を刈り込んだり、あったら便利そうだなというものがたくさん出品されていました。

    散水のための給水管の展示も興味を引きました。柔軟性があり、重機で引っ張ることで長距離を一気に敷設してしまうメリットなどがあるそうでしたが、価格が従来品の1.5倍するとのことで、工期が短くなる効果を相殺してしまうとのことでした。地震に強いことや耐久性が高いことは価格以上のメリットがありそうです。また、地面を掘らずに細い切込みを入れるだけなので芝への負担が小さく工事後のダウンタイムが短いというメリットもあります。

    その他細かいところではカップ切りやおしゃれなヤード版などの小道具が目を引きましたが、なかでもイギリス製の鋳物のプレート(ヤーデージ版など)がおしゃれで良かったです。

    新種の芝、種

    急激に進む温暖化でベントグリーンから暖地型の芝に変更するコースが相次いでいますが、暖地型の芝には大きく分けてコーライやノシバなどのゾイシア系とティフトンなどのバミューダ系に分けられます。今回はゾイシア系でグリーン用に開発されたリンクスゾイシアを見てきました。

    リンクスゾイシアは葉が非常に細かく高密度で低刈りが可能で、ゾイシアでありながら超高速グリーンが可能とのこと。管理方法は従来のコーライに近いので費用的にもバミューダやベントに比べるとおそらく圧倒的に安く管理できると思います。ただ、まだ適切な土壌がどのようなものかよくわからないのと(どんな土壌でもいけるとのことですが)、目砂はダメージを与えるのでできないとのことで何らかの事情で不陸ができた場合の修正をどうするのかなどといった疑問があります。日本の気候にはゾイシア系は一番適しているので期待が持てる芝種です。

    バミューダ系の品種ではミニヴェルデ、チャンピオンドワーフ、ティフイーグル、マッハワンあたりがグリーン用の品種として存在しますが、京葉でテストしているマッハワン含め出品はなかったようです。最近バミューダグリーンは急速に増えてるように感じてるだけに情報が欲しかったです。

    その他

    その他、コース管理向けのクラウド型管理ソフトが楽天や三和コンピュータから出ていました。楽天のものを少し説明を聞きましたがあまりピンとこなかったです。

    あと、2月のサンディエゴで見たバンカーの造成手法が日本ターフブースで展示されていました。バンカーの造成方法は案外苦労が多くてどこも工夫をしているわけですが、近年アメリカではここで紹介されていた砂利を敷き詰めてポリマーで硬めて排水層とし、その上に砂を入れる方法が取り入れられることが多いようです。これのメリットは万一砂利層が露出して破損したとしても、その部分だけ砂利を敷き直してポリマーを塗布すれば直ってしまう補修性の高さにあります。今年のUSオープンを開催したオークモントCCでもこの手法が採用されていました。ただ、難点はコストで、平米あたり8000円するとのことで、バンカーの大きさは簡単に100㎡、200㎡になるので、すべてのバンカーをこれで造るとしたらかなりの費用を覚悟しないとならず、かなり躊躇われるところです。いずれ紹介したいと思いますが、京葉CCではもっと安い方法でのバンカー造成方法を確立しつつあります。

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