京葉カントリー倶楽部

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    公開:2014.01.29 10:54 | 更新: 2020.10.24 01:54

    Mr. Tom Doak and the “Classics” その2

    前回からの続きです。

    ラフプランを受け取ったあと、我々は川奈へと向かいました。僕にとってはこの時が初めての川奈でしたが、トム・ドークはそれ以前にも(おそらく複数回)プレーしてます。川奈へ行くことになった理由はよくわからないのですが、コーディネートしてくれたマサ・ニシジマ氏がこのようなプランを組んでくれたのでした。

    結論から言うと、トム・ドークと川奈を一緒にプレーしながら、それも泊まりでゴルフをするというのは至福の経験となりました。川奈ホテルのバーで僕とトム・ドーク、ブライアン、ニシジマ氏、眞利子氏の5人での語らいは何にも代えがたいものとなるでしょう。

    ゴルファーなら誰でも自分の思うゴルフコースランキングがあるはずですが、このランキングは時と共に変わります。コースが改造されたり、新しいコースが加わったり、自分の考え方が変わったり。ドークはあちこちでドーク自身のランキングを聞かれているのですが、僕もその時点での彼のランキングが知りたくて僕も彼の現時点でのトップ12は何かを尋ねました。答えはもはや正確には覚えてないですが、パインバレー、セントアンドリュース、シネコックヒル、ナショナルゴルフリンクス、パインハーストNo.2、ミュアフィールド、サイプレスポイント、サンフランシスコ、サンドヒル、ロイヤルカウンティーダウン、ロイヤルメルボルン、メリオンあたりだったように思います。彼は順位をつけるのは好まないので、今挙げた順序は順位を表すものではありません。念の為。

    僕にとってむしろ印象的だったのはランクインしなかったコースのほうでした。オーガスタナショナル、オークモント、ペブルビーチ、ウィングドフットなどは彼の好みではないようでした。

    ちなみに、ドークは川奈が評価とは別に(といっても高く評価してますが)とても好きらしく、富士コースだけでなく大島コースもカートに乗って興奮して走りまわって見ていました。「こんなにダイナミックなコースはなかなかないよ!」と語っていて、一般的には評価が低い大島コースなだけに僕は興味深く聞いていました。川奈はアップダウンが結構きついので敬遠する人も多いですが、1番と5番の打ち下ろし以外は極端な高低差はないし、自然の地形を活かしたレイアウトは見事だと思いました。僕は特に7番ホールは見事なショートパー4で大好きです。

    ドークの川奈への評価も聞きました。コーライグリーンはベントに変えるべきだし、16番ホールの有名なパー3の砲台グリーンはもっと下げたほうが良いだろうと言っていました。レイアウト(ルーティング)については満足しているようでした。そして、「もし川奈のリノベーションの依頼があったら引き受けるか?」という僕の問いに、しばらく沈黙して考え込んだ後「yes」と答えました。リーマン・ショック前の当時、彼のもとには毎月2件以上の新規設計依頼があったらしいですが、そういう状況も考慮した上での真剣な返答だったように思います。

    ドークは有名設計家の中では圧倒的に来日回数の多い人だと思いますが、コース設計の歴史についてもかなりのオタクで、アリソンの設計思想や日本での活動にも非常に詳しい人です。世界中を旅して設計して回ったアリソンやマッケンジーに自分をなぞらえているようでもありました(奇しくもふたりともコルトのパートナーでしたね)。

    そんなわけで、彼の考える川奈のリノベーションは彼のコースにすることではなく、アリソンの思想を蘇らせるものであることは間違いないでしょう。そういうコースのレストアもこれまで数多く請け負ってきた実績もあります。クリスタルダウンズなどはマッケンジーの設計ですが彼のレストアによって見事に蘇ったそうです。ドークのホームコースでもあります。

    コルトやマッケンジーが活躍した1920年代前後はゴルフにおいてもゴールデン・エイジで現在ではその頃に設計されたコースをクラシックコースと呼びます。ドークはこのクラシックコースの設計思想を現代に蘇らせることを目標にしていることは、彼の会社の名前がルネッサンス・ゴルフであることからもよく分かります。(つづく)

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