京葉カントリー倶楽部

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    公開:2026.01.30 12:35 | 更新: 2026.01.30 03:37

    バンカー構造の探求について

    バンカーの砂が少なくてすみません。

    何年も研究していますがなかなか解決策が見つかりません。今のところ分かっている原因と対策について書きたいと思います。バンカーの砂が少なくなる、あるいは少ないと感じる原因はいくつか考えられます。

    • 当たり前の理由:砂の補充が間に合ってなくて本当に砂が少ない。
    • あまり当たり前じゃない理由:実は砂がしっかりあるんだけど、何らかの理由によって硬い層ができていしまい、砂が少ないと感じる現象が起きている。

    これらが発生する理由を深堀りすると、以下のような理由が浮かび上がります。

    本当に砂が少ないケース

    まず砂が少ないケースについて。

    • バンカー用に向いた砂が枯渇しつつある(そもそも砂を注文しても届かないこともある)。
    • 上記と関連しますが、砂の値段がどんどん上がっている(経験的には2000年代中頃の中国の経済発展が始まった頃に中国が砂の輸出を禁止して以来この傾向が続いています)。
    • 砂を補充する人員や時間が足りない。

    バンカーにどういう砂を使うべきか、というのは人によって様々です。スコットランドのリンクスへ行けば掘ればそこがバンカーになるような砂地にコースが存在しているのでバンカー砂を選ぶという感覚さえなさそうです。スコットランド・アイルランドのリンクスを範とするミニマリストだったら地元の安い砂を使うべきだと言うでしょう。オーガスタナショナルのような真っ白なバンカーを良しとする人は白い砂が良いというでしょう。

    バンカー砂の選択にも案外、いろいろな思想や考えがあるわけですが、ゴルフコース経営者としてはお客さんが喜んで、かつメンテナンスが容易で安価なものが良いと考えます。どこでバランスを取るかという話でもあります。業界的に「バンカーに向いた砂」というのは「ほどほどに締まるけど透水性があって、物理的、化学的に安定していて、かつ打ちやすい白っぽい砂」ということになります。少し角張ったシリカで粒度分布がいい塩梅で構成される砂が理想的です。シリカは物理的に硬くて、化学的にも風化しにくいので細粒が出にくく透水性を悪化させないのです。色も純粋なシリカだと白すぎるくらい白いです。

    粒度分布と形状は透水性と打ちやすさの観点で非常に大事で、分布によっては硬すぎて排水できない問題が起きるし、それを避けて荒くしたり、丸い形状のものを選ぶと毎回目玉になるような柔らかいバンカーになってしまいます。

    当然、こんな砂が都合よく近所で産出されるはずもなく、少なくとも京葉CCではもう手に入らない状態で困っています。

    最後に経営的な観点で、リソース不足、予算不足による補充の遅れがどうしてもあります。本来は冬の間に砂の補充をしたいところですが、通常の作業が暇になった冬の間にやりたい作業が他にもたくさんあってやりきれないことがあります。補充してもすぐになくなってしまうということもあります。これは次の問題とも関連してきます。

    本当は砂があるのに少ないと感じるケース

    次に砂が少なくないのに硬い層ができてしまって薄く感じるケースについて。これはバンカーの排水が悪くなって水たまりができるようになると細かく軽い成分が上部に浮いてきて層を作ります。このようなケースでは砂をいくら補充しても効果は次の雨が降るまでとなってしまいます。すべてのバンカーを調査したわけではないのですが、おそらく砂が少ない問題はこちらが原因のバンカーのが多いのではないかと推測しています(つまり砂を足してもキリがない)。

    • 空気中のチリやホコリがバンカー落下して混ざり透水性を悪化させます。なので、ものすごく余裕のあるコースではスタッフがバンカーレーキをかけるまえにブロアーで表面のゴミを飛ばしてこれを防ぎます。
    • 大雨などでバンカー外から土砂が流入してきて混ざり透水性を悪化させます。なるべく外部から水が入りこまないようにバンカーを作ることが大事ですが、100%そのように作れるとは限らないのである程度いたしかたないです。
    • 前項と似ていますが、バンカーのリップ(縁)の部分を強調するために土を露出させて作ることが多いですが、この土の部分が土と混ざって透水性を悪化させます。
    • バンカーショットで砂が外に掻き出されますが、薄くなった状態を放置しておくとバンカーショットの衝撃でバンカーの基層の土が砂と混ざり、透水性を悪化させます。

    で、どうすれば解決する?

    実はバンカーの寿命は長くても10年程度と言われていて、5年から7年とも言われます。バンカーの構造と日々のメンテナンスで寿命は伸ばせます。というか、ちゃんとやらないと寿命は非常に短くなります。

    とりあえず程よく締まって打ちやすい砂、というのは忘れてください。これは砂が少ない究極の原因ではないからです。究極の原因はバンカーの構造とメンテナンスです。まず構造として、

    砂と土を混ぜない

    これが絶対条件です。そのためにいくつかの工法が提案されてきました。一つは砂と基盤の間に砂利の層を作ることで、もう一つは透水性のあるシートを敷くことです。前者は砂利の層をポリマーで固めて砂と土を分離します。透水性も確保できるし、部分的な補修も可能なので寿命は長くできそうです。後者は多くの場合不織布を敷きますが、安いけどうまくいかない、というのが定着した評価のようです。

    とはいえ、砂利で作る工法は高すぎて手が出ないので、不織布での工法をいまは研究しています。不織布の弱点は破れやすいことです。砂が薄くなったところでプレーヤーが気づかずにバンカーショットをして破ってしまったり、シートの端っこが飛び出てきてプレーヤーが「なんだこれ?」といって引き剥がしてしまう、乗用バンカーレーキでスタッフが気づかず引きずってしまう、など様々なリスクがあります。

    そこで、京葉CCではそもそも多少のことでは破れない分厚い不織布を使うことにしました。そして、めくれ上がる原因である重ね合わせ部分を両面テープと片面テープで内側と外側両方をしっかり固定して砂が入り込む余地を消しました。砂が薄くなりがちな法面は不織布よりも強い「バンカープロテクト」という商品を貼っています。

    これで構造面はだいぶしっかりできたと思います。あとはメンテナンスで良い状態を維持できるかという問題になります。ようは砂の量を一定に保つことが求められるわけです。砂の厚みを常に15cmから20cmのあいだにキープすることができればシートが破れることもないはずです。ここで砂質が問題になってくるのですが、透水性が十分ありつつ程よく締まる砂であれば砂の量をコントロールしやすいのです。柔らかい砂だと厚みを一定にするのが難しい。締まっている方がバンカーショットで飛ぶ砂の量も少なく済みます(たぶん)。

    結局のところ、砂はどう選ぶ?

    本来は砂屋さんがこちらの要望に沿った粒度粒形で納めてくれればいいんですが、いまはそれが難しいので、こちらの方で複数の砂を仕入れて混ぜてみようかなと思っています。高いし面倒だけどもうそれしか方法がないかなということで。

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