公開:2011.11.03 10:56 | 更新: 2022.08.25 04:23
キャディはルールで認められたパートナーである。距離やライン、クラブ選択などに助言をすることが出来るのがパートナーであり、単にクラブを運ぶだけの存在ではない。それだけではなく、初心者の人にとってはゴルフのルールやマナーの手助けをしてくる存在であるし、また、18ホールの旅を楽しいものにしてくれる道連れでもある。
バブル崩壊以降、ゴルフ需要の減退により価格への下落圧力が強まり、より低価格でゴルフが出来るセルフプレーが普及してきた。それはそれで大変結構なことではあるが、キャディなしでプレーするといことは、キャディがやるべき仕事をプレーヤー自身がやらなければならない、ということである。そもそもディボット跡を埋め、グリーン上のボールマークを直し、バンカーをレーキがけするのはプレーヤーの仕事である。
個人的にはキャディがいるなら必ずキャディをつけるようにしている。その方が単純にゴルフが楽しい。
数年前、一人でスコットランドに行ってきた。エジンバラの東にあるノース・ベリックというコースを日本からインターネットで事前に予約し、キャディを頼んでおいた。プレーしたのは日曜日であった。
コースについてプロショップでチェックインし、スタートハウスでキャディを待つ。しばらくしておじさんがやってきた。ノース・ベリックは公営のゴルフコースであるが、そこをホームにするクラブが三つあるという。彼はそのうちの一つのクラブのメンバーだそうで、週末にはこうしてアルバイトでキャディをするそうだ。それはアルバイトというよりも観光客を案内するボランティアのようなものに近い感じだった。
その日、彼の子供たちはコースの脇にあるショートコースでゴルフをしているという。さらに小さい子供たちにはスタートハウスの向こうに大きなパターゴルフ場があって、そこで遊ぶそうだ。街全体がゴルフと共にある、そんな街だった。
結局一人でプレーしたのだが、キャディをしてくれたおじさんと二人で雑談しながら楽しく、気持よくゴルフができた。最終ホールは短いパー4で、ドライバーだとオーバーしてしまうが、グリーンの手前は溝になっていて、非常に面白いホールだった。右側の道路の向こうはすぐ街になっていて、車が止まっている。キャディのおじさんの車もそこに停めてあるという。ちょっとスライスすれば車か家に当たってしまう、そんな距離感。「あそこには打たないでくれよな」とおじさんが冗談をいった。
その日はそこそこ調子が良かった。けれど右は街だしワンオン出来る距離ということで力んでチョロってしまった。その日は日曜日で、クラブハウスの二階のパブに上がるとトム・ワトソンが全英オープンの優勝争いをしていた。
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