京葉カントリー倶楽部

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    公開:2026.03.17 01:38 | 更新: 2026.03.17 04:38

    バンカー砂の選定

    前回バンカーについての苦労を書きましたがアップデートがあるのでそれについて書きます。

    これまでの経緯

    これまでバンカーの砂が少ないという苦情を多く受けていました。砂を足したり、砂の種類を変えたり、排水不良のバンカーを作り直したり、あの手この手で対応してきましたがどうにもうまくいきませんでした。しばらくするとすぐに砂が少なくなってしまうのです。これについての詳細は前回のポストに書きました。

    結論だけ書くと、ようはバンカーの構造から底で使用される部材や砂の種類、日々のメンテなど、総合的な理由が原因であろうということで、砂の種類以外については現時点での方針は決まっていました。そこで、今回のポストでは砂について書いていきます。

    選ぶべき砂の基準

    ゴルフの始まりを考えるとバンカー砂の種類で悩むのは本当にバカバカしいわけです。リンクスとはそもそも砂丘という意味で、砂地にゴルフ場はあるものなので、掘ればバンカーになる、というのが自然なわけですね。なので、スコットランドなどのリンクスでは日本でやるように外から砂が流れ込まないように外周を少し高くする、なんてことは必要ないんです。ボールがバンカーに吸い込まれていく作りが原則としては自然なんです。

    そんなこと言ったって日本では砂丘にあるゴルフコースなんてほぼないわけで、どこかから持ってこないといけません。ミニマリスト的な人はなるべくコースの近くで取れる安い砂を使うべきといいます。トーナメントなどでテレビ映りを気にする人は白い砂を使うべきといいます。コースメンテをする立場の人からすればグリーンに使う砂と同じ砂を使うべきといいます。すべてが両立すれば最高ですが、そうは問屋が卸さないのが現実です。結局のところ、遠くから、ぼちぼち白い、まぁまぁグリーンの砂に近い砂を高いお金を出して買わざる得をません。

    いろいろ苦労しましたが結論だけ。茨城県高萩で取れるバンカー用の砂とオーストラリアのフラッタリー岬付近で取れる砂を90:10で混ぜて使うことにしました。USGAのグリーンセクションが出しているガイドラインにはグリーン用の砂の基準の他にバンカー用の砂の基準もあって(実は今回初めて知りました)、いつも試験してもらっているTifton Soil Testing Labに送って検査してもらい、めでたく適合ということになりました。以下の画像がガイドラインの抜粋です。

    余談ですが、業者さんに砂の粒度分布をくださいとお願いして、あらかじめ当たりをつけてから試験したわけですけど、どういうわけか今回の試験での粒度分布と全然違ったりしてなかなか大変でした。。。

    今回この砂を選んだ理由

    USGAのガイドラインを満たしていたとしても幅はあるし、ここで評価対象に含まれていないこともあるでしょうから、実際にはどういうバンカーにしたいかというこちらの要望や想定も結構重要で、今回は今までの反省からしっかり締まる砂にしようと思いました。

    あちこちからサンプルを取り寄せたり粒度分布のデータを貰ったりしたんですが、どれも粗めだったり、丸すぎたりして柔らかいバンカーになりそうなものばかりでした。結局以前からバンカー用として評判の良い高萩砂にしたのですが、これは粒度分布もそれ自体でUSGAの基準を満たしているし、やや角張っているのも良い条件でした。しかし、基準内ではかなり粗めのほうに偏っていて不安だったので、この砂とは真逆に非常に細かく揃っているフラッタリーサンドを10%だけ混ぜることにしました。事前に両者の粒度分布を調べてもらって、計算上どの比率が一番良さそうかあたりをつけて10%を選択しました。フラッタリーサンドはかつて弊社がガラス工場を営んでいたときのガラスの主原料として使っていたもので、個人的には結構熱いものがあります。ただ、死ぬほど高いのが難点です。ガラスにする量とバンカーに使う量は比較にならない。。。あと、食器用のガラスに使う原料なので、不純物がほぼない99.85%%シリカなのも使いやすい理由ですね。興味のある同業者さんはYCFマテリアルズさんに問い合わせてみてください。とても親切かつ迅速に対応してくれます。ただ、死ぬほど高いです(二度目

    USGAガイドラインの詳細

    これが今回の試験結果です。(原本はもちろん全て英語です)

    1. 飽和透水係数:これは試験サプルを水で満たした状態での透水量を表したものです。毎時30インチがUSGA基準の下限なので、しっかりメンテしないとすぐに基準を下回りそうです。
    2. 非毛管孔隙率:重力によって水が通過できる空隙の割合。
    3. 毛管孔隙率:水分を保持する空隙の割合。
    4. 全孔隙率:両者の合計。孔隙率が高いほど排水性は高いですが、目玉になりやすくなる原因にもなるのでトレードオフがあります。
    5. 容積密度:サンプルの1立方センチメートルあたりの質量で、これも一種の締り具合を示していると言えるでしょう。空隙の多さや砂の材質(ケイ素が多いのか、カルシウムが多いのかなど)で変わってくる数字と思われます。
    6. 圃場容水量における水分保持量:サンプルを水で飽和させ排水させたあとに残る水分量です。砂がどれくらい砂を保持するかの指標です。
    7. 粒度分布:砂の粒の大きさごとにどれくらいの割合かを示した表になります。USGAの基準を満たしています。

    以下はラボの評価結果です。

    • 高萩砂:フラッタリーサンド=90:10 のバンカー砂は、京葉カントリークラブの要請により、2026年3月11日に評価された。評価は、添付のUSGAバンカー砂選定ガイドラインに基づいて実施された。
    • 試料は受領時点で正常な状態であった。
    • この砂は、ASTM F1815 法で締め固めた状態において透水係数 31.7 in/hr を示した。USGAは、バンカー砂の透水係数として 30〜100 in/hr の範囲を推奨している。
    • この砂は粗砂(coarse sand)であり、USGAのバンカー砂粒径基準を満たしている。
    • この砂はシルトおよび粘土の含有量が非常に少なく(合計3%、うち粘土0.5%)、そのため表層はクラスト形成(表面硬化)や固結が起こりにくいと考えられる。
    • この砂の均等係数(Coefficient of Uniformity:CU)は2.2である。USGAは、CUが理想的には2.0〜5.0の範囲の材料を使用することを推奨している。
    • 砂粒の形状は、主にやや角張った形(subangular)であり、球形度は中程度である。
    • この砂の色は、湿潤時は淡い褐色がかった灰色、乾燥時は灰褐色である。
    • この砂のペネトロメーター値は3.3 kg/cm²であり、これは目玉(ボールが深く埋まる状態)になりにくい、埋没傾向が非常に低い砂であることを示している。
    • この砂の安息角(Angle of Repose)は乾燥状態で30°である。
    • 結論:高萩砂とフラッタリーサンドを90:10で混合したバンカー砂は、添付の2020年USGAガイドラインと照らしても良好な適合性を示している。

    バンカーの準備が整い次第、砂の投入します。実際に使い始めたらまた報告します。

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