京葉カントリー倶楽部

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    公開:2010.03.10 11:16 | 更新: 2022.08.25 04:25

    ゴルフコースはPar 72というのが常識か?

    どのコースも少なくとも一つはロングホールがあるべきである。私の言うロングホールとは、500ヤード以上のホールのことだ。しかし、これらのロングホールを魅力的なものにするためには深い思索が必要となる。自然にゴルフホールとなるような特徴を持つ土地をもち、それを最大限に生かさなければならないのだ。

    特別な要望がない限り、私は3ショットホールは薦めない。なぜなら2ショットホールの方が遥かに良い試練をゴルファーに与えてくれるからである。

    この国で本当に良い3ショットホールは指で数えられるほどしかないが、素晴らしい1ショットおよび2ショットホールは無数にあるのだ。

    —Donald Ross “Long versus Short Holes” Golf Has Never Failed Me

    多くのゴルフコースでは18ホールのパーは72になっている。そしてその構成はパー5が4ホール、パー3が4ホール、残りがパー4、というのがほとんどである。これは一体何故なのだろうか。

    パー5はあまり面白くない、というのが僕の考えだ。というのも、上級者はバーディをとるチャンスではあるが、初心者にとっては大たたきする可能性が高く、ロスの言葉を借りるならばパー5は”fine test of golf”ではないからだ。実際、現代においても良いホールのほとんどはパー4に集中していて、パー5で素晴らしいホールは未だに数えるほどしかないのだ。パー5にすることでゴルファーのどのような技量を引き出すことができるのだろうか?

    数少ない素晴らしい3ショットホール
    ベスページ ブラック 4番ホール パー5

    パー5のホールは3ショットホールとも言うが、3ショットホールでは最初の2打は普通、ドライバー・3番ウッドという攻め方になる。ここで3番ウッド以外の選択肢を与えるためにハザードを配置すると、今度は3打目がいつも同じところから打つことになり戦略性が落ちてしまうであろう。上の写真のベスページブラックの4番ホールは3ショット全てがダイアゴナルに攻めなければならないようにデザインされており、攻め方がショットの結果によって劇的に変わる戦略性の見本のような希有なホールであるが、同じものを他で作っても面白みがない。ユニークで面白いパー5を作るのは非常に難しいことなのだ。

    さて、自然が作り給うたセント・アンドリューズのオールドコースはパー72である。しかし、実はこのコースにパー5は2つしかないのだ。だからパー3も2つしかない。実に14ホールがパー4というタフなコースなのである。

    セント・アンドリューズ 16番ホール パー4

    ここにセント・アンドリューズの面白さの一端が隠されているようにも思える。これに風の条件が加わると2ショットホールはひによっては1ショットホールにもなるし3ショットホールにもなり、毎日違う姿を見せてくれるのだ。もちろん、ピンを切る位置によっても攻め方が劇的に変わるようなホールもある。

    同様に1ショットホールも4つも必要なのであろうか?という疑問がある。たしかに3ショットホールよりは面白いものが多いが、それでもパターンが限られているのではないだろうか。特に1ショットホールの欠点はグリーンが全て、という点である。現代の捉え方ではその両者(グリーンとグリーン周り)はあわせてグリーンコンプレックスという一体のものとして考えられているので、ここでいうのはグリーンコンプレックスが全て、ということである。

    優秀な設計者は、パー3を考えるとき、ティショットの方向を4つとも異なるように気を遣うし、打ち上げ、打ち下しをそれぞれ入れるなどバラエティを富ませようとするが、限られた用地の中に18ホールを押し込め、その上でこのような配慮をしたパー3を4つ入れることは至難の業であろう。良いゴルフコースは地形が大事というのはこのようなところでも現れるのである。

    そういうわけで古い名コース、例えばパインバレーやシネコックヒルズなどのようにパー5が二つしかないパー70のコースが多いし、オークモントなどパー71のコースも多い。ところが、年代が下って新しいコースになると、判を押したようにパー72のコースが激増する。これは一つはオーナーやゴルファーが見た目の距離を重視するためであろう。パー70で6600ヤードというのとパー72で6800ヤードというのでは距離だけで言うと前者の方が遥かにタフで面白いコースになりうるが、数字的に見た目が良いのは後者である。しかし、同じ用地で考えるのであれば、ほぼ間違いなく前者の方がスケールや面白さを出した設計が可能になるであろう。

    結局のところ、用地がパー72になるかパー70になるかを決めるし、実際のところパー5の持つ本質的な問題から、パー5は4つも要らないであろう。

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