京葉カントリー倶楽部

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    公開:2010.03.01 11:22 | 更新: 2022.08.25 04:26

    A Course Divided is No Course

    分断されたゴルフコースはゴルフコースではない

    —Donald Ross Golf Has Never Failed Me

    この言葉はドナルド・ロスの言葉であるが、残念ながら我が京葉カントリー倶楽部はほぼ真ん中に道路が走り二つに分断されている。

    ドナルド・ロスは19世紀の終わり頃にスコットランドの北の端の街、ドーノッホ(Dornoch)に生まれ、アメリカで著名なゴルフコース設計家になった人物である。代表コースはノースカロライナ州のパインハーストNo.2である。他にもフロリダの超名門クラブであるセミノールや、オークヒル、オークランドヒルズ、セーラム、インバーネス、パインニードルズなど多数の名コースを設計した。

    パインハーストNo.2 12番ホール

    彼はもともとプロゴルファー兼グリーンキーパーとして働いていたが、修行のためにセント・アンドリューズのオールド・トム・モリスの下へ行く。そこでグリーンキーピングだけでなく設計の基礎を学んだらしい。オールド・トム・モリスは現代に続く設計家の系譜の源流の人物と言って良いだろう。

    トム・モリスの下には後に「アメリカのゴルフの父」と呼ばれれ、シカゴゴルフクラブやナショナルゴルフリンクスオブアメリカを設計したC. B. マクドナルドやウィングドフット、サンフランシスコ、ベスページ・ブラックなどを設計したA.W.ティリングハーストなどが設計を学んだのであった。

    ロスは冒頭のような言葉を残し、たしかに彼の設計したコースで代表的なコースには道路で分断されているようなコースはない。しかし、現在世界のトップにランクされているコースを見てみると、意外と分断されたコースが多いことに気づく。

    現在世界ランク6位のシネコックヒルズ、8位のオークモント、10位のメリオン、12位のナショナルゴルフリンクス、14位のロイヤルメルボルン、35位のベスページ・ブラックなどは全て道路で分断されている。シネコックヒルズやナショナルゴルフリンクスはコースが分断されているだけでなく、ホールが分断されているところもある。

    メリオン2番ホール 道路の右に1番ホールがある

    シネコックヒルズはニューヨークのロングアイランドの先端のハンプトンに位置するが、当初は鉄道でコースが分断されていたのだ。1920年代の黄金時代に訪れたモータリゼーションによって鉄道に沿ってハイウェイが作られた際についにコースの移動を余儀なくされたのであった。その頃の鉄道は一日に数本しか通らなかったため、特に問題にならなかったそうだ。そして、シネコックヒルズはウィリアム・フリンを起用して改造し、名コースの地位を手に入れたのであった。

    スコットランドに目を向けると、聖地セント・アンドリューズの1番ホールと18番ホールの途中には公道が横切っていて、ゴルフコースの真ん中を歩いていることに気づかない観光客などはゴルファーに怒鳴られる始末である。また、エジンバラ近くのノースベリックには道路ではなく、いたるところに塀が横たわっている。The Pitと呼ばれる13番ホールなどはグリーンのすぐ手前に塀があって、非常に難しくしている。

    ノースベリック13番ホール

    ロスは「分断されたゴルフコースはゴルフコースではない」といったが、コースが道路で分断されているというのは意外と悪いものではなさそうだ。

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